


役目を変える
建物の外壁になるはずだった一枚が、
今日は、誰かの机の上にいる。
レーザーの光が表面をなぞり、
そこに文字や模様を刻んでいく。
無機質だった素材に、
少しだけ人の気配が生まれる。
鍋を置けば、鍋敷き。
机に置けば、マウスパッド。
店先に置けば、
店の名前を伝える小さな看板になる。
使い方を変えるだけで、
同じ一枚が、違う表情を見せる。
よく見ると、
表面には小さな粒が混ざっている。
素材の中に残された、
ほんの少しの記憶。
それもまた、
この一枚の表情になっている。
ものには、
最初から決められた役目がある。
外壁だったものが、
暮らしのそばへ。
看板だったものが、
誰かの思い出になるかもしれない。
ほんの少し見方を変えるだけで、
新しい役目を持ちはじめる。
鍋敷き?もしくはマウスパッドとして。






